損害賠償責任保険の役回り

被害者が治療のため、入通院をするのは苦痛です。その苦痛を金銭で慰めるのが、入通院(傷害)慰謝料です。これには、自賠責保険、任意保険、弁護士会のそれぞれの基準があることは、ご説明しました。任意保険の基準は各損保が独自に設定していて、公表はされていません。私は数社の傷害慰謝料表を照合しましたが、金額に変わりはありませんでした。たぶん、どこも同じなのでしょう。任意保険基準が自賠責基準と同額か、またはそれを下回っています。入院六か月だけで通院がない場合には、自賠責保険基準七五万六〇〇〇円、任意保険基準一八万五〇〇〇円、弁護士会基準二四四万円となり、自賠責より任意保険の方が高くなります。任意保険は、自賠責で足らない分を支払うという理念からすれば、任意保険が自賠責より低い場合があるなどというのは、許されることではありません。弁護士会基準は自賠責保険基準の一・五倍から二倍です。被害者は、弁護士会基準の慰謝料を請求して何ら問題はありません。これに対し、損保はどの基準で回答するか。弁護士会基準で回答することはまずありません。任意保険基準か、または自賠責基準で提案してきます。自賠責の基準とは、治療一日当たり四二〇〇円という決まりです。ですから、治療期間が三〇日であれば、ごく単純なケースでは四二〇〇円×三〇日=一ニ万六〇〇〇円となります。加害者側の任意保険会社は、どうして弁護士会基準で提案しないのか。それはひとえに、保険金を払いたくないからです。任意保険会社は、「一括払い」といいまして、自賠責保険から支給されるべき分を一括して窓口となります。任意保険から支払った賠償金は、あとで自賠責保険から回収します。回収するとき、自賠責では基準が決まっているため、一日四二〇〇円の割合でしか回収できません。つまり、任意保険会社は、将来自賠責保険からいくら回収できるかを計算に入れ、できる限り自社の懐が痛まないようにするため、回収できる金額の範囲内で被害者に提示しようとするのです。うまくいけば、事情を知らない被害者は自分たちの計略にはまり、示談に応じてくれます。バカな被害者ならだまされてくれるだろう。そういう思惑があるからです。
[参考サイトのご紹介]
自動車保険一括見積もりサイト
http://auto.hokende.com/
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